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<硯の手入れについて >

2014年01月31日  カテゴリー : 書道用品の豆知識

硯は墨液を作る為の道具です。硯の表面部分(俗に「丘」「墨堂」と呼ばれる部分)は鋒鋩(ほうぼう)と呼ばれる細かいザラザラ状態となっています。この鋒鋩に固形墨をすりつけて墨液を作ります。最近では墨液商品も多く、実際墨液を買われる方は非常に多いです。ありがたいことではありますが、やはり書道用品店としましては、固形墨で墨を磨る楽しみもお客さまに提供したいと思っております。そういえば、わたしが小学生の時分の書道の授業では前半15分くらいは墨を磨りました。先生から「墨を磨って心を落ち着かせてから書に向かいなさい」と教えられたのを思い出します。固形墨には香料も入っておりますので、実際磨っていると良い匂いもして、なんだか落ち着きます。丁寧に作った墨液で書くとなんだか字も上手いような気さえします。とはいえまだまだ勉強中の身ではありますが・・・。

 

さて、今回は硯の手入れに関してお話させていただきます。前回のブログで泥砥石に関して説明させていただきましたが、今回はその前段階の手入れに関してです。硯の手入れの基本は「毎回きれいに洗うこと」です。今回は私、不肖小寺が実際に手入れしてみましたので、ご参考になれば幸いであります。

 

硯手入れ 1.jpg

 

毎日手入れが上手く行き届いていない状態の硯を用意しました。

硯の表面がテカテカとしています。所によっては墨の塊のようなものがこびりついています。これはもう重症ですね。鋒鋩に墨が詰まってしまっているのが見た目から分かります。これでは満足に墨を磨ることもできません。そこで、ぬるま湯に一時間ほど着けておき、洗剤の付いていないスポンジの柔らかい部分で墨堂の部分を手入れしてみました。

 

硯手入れ 2.jpg

 

随分と表面がきれいになりました。ここでのポイントは、ぬるま湯にしばらく着けておくことです。ぬるま湯に着けておくことにより、鋒鋩の間の細かい墨の粒子が浮いて取れやすくなります。冬の時期はお湯もすぐに冷めてしまいますので注意が必要です。また、熱湯だと急激な温度変化で硯が傷んだり、最悪の場合割れてしまうかもしれません。お風呂のお湯くらいを目安に、つけ置きをしてください。

通常の手入れはこのくらいでもいいかもしれませんが、画像からもわかりますが、この状態では墨液が溜まる「海」と呼ばれる部分の墨がきれいには落ちていません。長く手入れが行き届いていないとこのような状態となります。このような場合は使い古した歯ブラシなどを使います。

 

硯手入れ 3.jpg

硯全体がお湯に浸かった状態でこのように墨を落していきます。この際、注意が必要なのは、決して歯ブラシで「丘」の部分を磨かないことです。硯の表面の鋒鋩は石と言えども繊細で、キズが付いてしまうかも知れません。あくまでも「丘」の部分を手入れする際は繊細さにも留意して優しくおこなって下さい。縁の部分のみ、このように歯ブラシを使って頂いてもいいかと思いますが、メラニンスポンジなどもいいかと思います。中にはかなり頑固にこびりついた墨もあるかと思います。その際は何度も何度もお湯で溶かし出してはこの作業を繰り返してください。必ずきれいになります。間違っても金属製の針などではがそうとしないでください。繊細な鋒鋩が傷んでしまいます。

 

硯手入れ 4.jpg

 

根気よく手入れをした結果、このようになりました。最初の画像と比べるとかなりきれいになりました。ここまでで通常の硯の手入れはいいかと思います。

 

今回は、お湯につけておく時間も含めて、約2日間程手入れに時間がかかりました。いつもきちんと使用後に毎回きれいに洗えば、数分で終わる作業だと思います。この状態でもうまく墨が磨れない時は、泥砥石を使ってみてください。

こうして手入れをしているうちに硯に愛着がわいてきます。悠久の年月を経て、人間が使う道具となった石を大切に使っていきたいものです。

 

皆さんも是非お試しください。

 

 

筆者名:小寺

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書道用品の通販 大玄堂のスタッフブログです。書道に関するあらやる情報をスタッフより発信しています。

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